12B2病棟は、造血幹細胞移植、化学療法を行う13床の移植病棟です。病棟全体を高性能フィルターで空気清浄度を高め、室内気圧を廊下に比較して陽圧にするなど、移植を安全に実施できる環境を整えています。
対象疾患は、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液腫瘍に加え、再生不良性貧血やファンコニ貧血、先天代謝異常などの疾患も含まれます。対象患者は小児から成人・高齢者まで幅広く、小児患者では成長発達における重要な時期を過ごすため、養育・教育のかかわりも求められます。
治療は、同種骨髄移植や末梢血幹細胞移植、臍帯血移植といった移植を中心とし、移植以外にも造血器腫瘍患者への抗がん薬投与を行っています。移植前には大量の抗がん薬投与や全身放射線照射など、治療の効果を高める移植前処置を行います。有害事象を最小にとどめ、患者の感染予防やリハビリテーションといったセルフケア行動を支援する看護実践が求められます。
造血幹細胞を血管内に投与する「幹細胞輸注」後には、抗がん薬の副作用や骨髄抑制による口腔粘膜障害や発熱、消化器症状などの苦痛を伴う症状が発生します。また、造血幹細胞が患者の骨髄で造血をはじめる「生着」後には、ドナー由来の免疫細胞が患者を攻撃する「移植片対宿主病」や移植に関連した合併症の早期発見・対応が重要となります。侵襲の大きな治療であるため、患者・家族の不安も大きく、身体・心理・社会的な看護実践が必要となります。
また、骨髄バンクからの骨髄や臍帯血は、ドナーからの「善意の命を繋ぐ贈り物」です。医療スタッフは、提供者にも想いを馳せながら、患者の一日も早い回復を目指してチーム医療を提供しています。